WISC IVとは?~脳バランサーキッズとの相関性~
WISCは知能の総合的な値が算出できる検査
日本で最もよく使われていると思われる知能検査、WISCとコアヴィレッジでの療育に使われる脳バランサーキッズの相関性について解説します。
WISCは、Wechsler Intelligence Scale for Childrenの略称で、年長さんから高校1~2年生を対象とした知能検査です。現在日本では第5版(WISC-V)が出ていますが、まだ第4版(WISC-IV)を使っているところが多い状況です。
WISC-IVでは全検査IQという知能の総合的な値が算出でき、基本10個の検査項目の標準得点をそれぞれ算出し、あくまで総合的な知能の「目安」が分かります。項目ごとの出来にばらつきがある場合、あまり参考にならないことが多いです。
指標得点/群指数は4種類あります。
① 言語理解(VCI)
ことばの概念の理解、ことばに関する推理の力、日常生活の中で得られた言語的な知識を示しています。この指標得点が高いと、普段の生活の中で、会話や文章などのことばによる情報をきちんと理解し、その理解をことばで表現する力が高いと言えます。
② 知覚推理(PRI)
目で見た情報を統合して推理を働かせる力と、視覚的なパターンを識別しとらえる力を示しています。
③ ワーキングメモリ(WMI)
一時的に情報を記憶しながら処理する能力、求められた情報になるように頭の中で操作する力を示しています。ワーキングメモリは読み書き、算数といった学習能力や、集中力に大きく関わることが指摘されています。
④ 処理速度(PSI)
単純な視覚的情報を、素早く正しく区別して見極めていく力を示しています。目で見た情報の記憶力も必要です。
このWISC検査は、発達の遅れが気になる子どもに対して行われることがありますが、その本来の目的が発達障害の診断として捉えられていることが殆どです。
検査結果から、こどもの得意なことと不得意なことを把握し、その子にどのように関われば良いか、どのようなところを伸ばすとよいのかなどを知ることができます。
脳バランサーの役割
さて、こういった認知検査は、医療機関などで受けることができますが、同じ問題を使うことになるため、実施の間隔をあける必要があります。上記のWISCの場合、日本では1年半以上空けることとされています。
一方、子どもの発達は数カ月で大きく変化することもありますので、上記WISC以外の情報が必要ではないかと考えられ、開発されたのが脳バランサーキッズです。
コアヴィレッジで療育に使われている、この脳バランサーキッズは、13種のミニゲームを行い、課題の結果から「発達指数」と「発達年齢」を判定し、各認知機能の発達の様子を具体的に捉えることができるものです。
※コアヴィレッジで療育に使われている脳バランサーのレポート例
この脳バランサーは、WISC-IVとの相関が調査研究で確認されており、下記の論文が出ています。さらに、新しい2つの学術論文も掲載されるとのことです。
Hashimoto K. Usability of the Assessment of Cognitive Function by the Digital Application Kids Brain Balancer. Journal of Pediatrics and Neonatal Medicine. 2023. 5, 1-4.
五藤博義
学習⽅法研究者
学習環境について⻑年、研究開発を続ける。複数の⾃治体で特別⽀援教育担当教員研修の講師や都⽴特別⽀援学校の外部専門員(アセスメント)を務めた。ベネッセコーポレーションニューメディア研究所⻑などを経て現在、レデックス株式会社代表取締役、主幹研究員。コアヴィレッジでの発達障害支援において全般的な監修を行う。